みんなの日本語 初級I レビュー|4年使い続けた日本語教師が本音で解説
みんなの日本語って英語の説明がないけど、初心者に使えるの?日本語だけで授業できるの?
日本語教師を始めようとしたとき、必ずといっていいほど名前が出てくる『みんなの日本語』。でも「本冊は日本語しか書いてない…英語で説明しないと初心者には無理じゃない?」と不安に思う方も多いと思います。
私はPreplyでオンライン日本語教師を始めて4年。ずっと『みんなの日本語 初級I・II』を使っています。私のやり方は「基本は日本語だけで教える」こと。英語は使いません。それでも学生さんはしっかり理解できています。今回は、実際に使い続けてきた経験から本音でレビューします。
いい点も悪い点も正直に話しますね。「日本語だけで教える」という私のやり方も含めて紹介します!
Ami(フリーランス日本語教師)
海外・オンラインでの日本語教育経験あり。
現在はデンマークから世界中の学習者に日本語を教えています。
これまでに3000回以上のレッスンを担当してきました。
・みんなの日本語 初級Iの基本情報と構成
・4年使い続けた教師が感じた「ここが好き!」
・正直なデメリット・気になる点
・英語を使わずに教えるための「イラスト活用法」
・こんな学生さんに向いている・向いていない
1. みんなの日本語 初級Iってどんな教科書?
『みんなの日本語 初級I』は、スリーエーネットワーク出版の総合日本語教科書です。全25課で構成されており、各課は「文型→例文→会話→練習A・B・C→問題」という流れで統一されています。ひらがな・カタカナをマスターした段階からスタートする教科書で、世界100カ国以上の日本語教育機関で使われています。
本冊はすべて日本語で書かれていますが、これは「最初から日本語の環境に慣れてもらう」という考え方に基づいています。別売りの「翻訳・文法解説 英語版」もありますが、私は使っていません。日本語だけで進めることで、学生さんが自然と日本語で考える習慣がつくからです。
・全25課構成(第1課〜第25課)
・対象:ひらがな・カタカナ習得後の完全初心者
・各課の構成:文型→例文→会話→練習A・B・C→問題
・本冊はオールジャパニーズ(英語訳なし)
・第2版(2012年)が現在の最新版

本が全部日本語で書いてあるのに、初心者が理解できるの?
これが意外とできるんです!鍵はイラストです。絵を見せながら「これは何ですか?」「これは本です」と繰り返すことで、英語を介さなくても意味がスッと入ってくるんです。
2. 英語なしで教えられる理由:イラストが最強の武器
「英語で説明しないと初心者には伝わらない」と思っていませんか?私も最初はそう思っていました。でも実際にやってみると、日本語だけで教えた方が学生さんの伸びが早いとわかりました。
理由はシンプルで、英語に頼ると学生さんが英語で考えてしまうからです。「本→book」と翻訳する脳のクセがついてしまうと、日本語で直接考える力がなかなか育ちません。そこで私が代わりに使うのがイラストです。
・単語:絵を見せながら「これは〇〇です」と繰り返す
・動詞:動きのある絵やジェスチャーで動作をイメージさせる
・場所・空間:地図や部屋の絵で「どこ」を視覚化
・助詞:イラストに矢印や囲みをつけて関係性を示す
・時間・数量:絵に数字や矢印を組み合わせて説明
Googleスライドで全課分のスライドを最初に作り切っています。絵と短い日本語だけのスライドなので、準備が終わったら毎回のレッスンはほぼ準備ゼロで進められます。
初めてのレッスンで「日本語だけで進めますね」と伝えると、最初は不安そうな学生さんもいます。でも数回やれば「あ、わかる!」って感覚が出てきて、そこから一気に楽しくなるみたいです。
3. 4年使って感じた「ここが好き!」
イラストと組み合わせて使い続けてきたからこそ感じる、みんなの日本語の強みがあります。
・① 文法の積み上げが丁寧で基礎がしっかり固まる
・② 練習問題が豊富でレッスンの流れが作りやすい
・③ 繰り返しの構成がイラスト教授法と相性抜群
・④ 世界標準なので学生さんが自習資料を見つけやすい
特に気に入っているのは繰り返しの構成です。練習A(文型確認)→練習B(口頭練習)→練習C(会話練習)と段階的に進むので、最初にイラストで意味をインプットし、練習で何度も繰り返すという流れがとても自然に作れます。「見る→聞く→話す」のサイクルを英語なしで回せるのが強みです。
練習BやCって、オンラインでもできるの?
できます!練習BもCも、お互いが自分の教科書を見ながら読み進めるだけです。シンプルですが、それで十分理解できているので余計なことは何もしていません。教科書の構成がしっかりしているから成り立つやり方だと思っています。
4. 正直なデメリット:気になるところも伝えます
4年使ってきたからこそ言える、正直なデメリットもあります。
・① 会話の場面設定が古い(電子辞書、ラジオなど)
・② イラストが古くてモノクロなので全体的に圧迫感がある
・③ 登場人物がビジネスマン中心(友人同士のシチュエーションもあるので雰囲気は悪くない)
・④ 中盤以降の文法になるとイラストだけでは説明しきれない場面も出てくる
一番気になるのはイラストの古さです。絵がモノクロで全体的に古い雰囲気があり、パッと見たときの圧迫感があります。電子辞書やラジオなど、今の学生さんには「これって何?」となる場面設定も出てくるので、その都度「今は〇〇って言うよ」と補足するようにしています。もう少し明るくて見やすいイラストにアップデートされたら、もっと使いやすくなるのになと思うことはあります。
また、最初の1〜3課だけは例外的に少し英語を使うことがあります。「〜は〜です」という文の概念や、日本語のルールをざっくり説明するときです。でもそれ以降はイラストだけで進められるので、英語依存にはなりません。
最初から完全に日本語だけは難しくない?
正直、最初の1〜2課は少しだけ英語を補助で使うこともあります。でも最初から英語に頼ると学生さんがそっちに頼り切ってしまうので、なるべく早く「日本語モード」に切り替えるのが大事だと思っています。
5. こんな学生さんに向いている・向いていない
4年間でさまざまな学生さんと使ってきた経験から、「みんなの日本語が合う人・合わない人」がだんだんわかってきました。私の学生さんはヨーロッパ(特にポーランド)やアメリカの方が多く、アニメ・ゲーム好きや日本旅行経験者が9割以上。そういった方々と使ってきての実感です。
・ゼロから基礎をしっかり固めたい人
・JLPT N4・N5を目指している人
・日本語で考える力を育てたい人
・日本旅行・日本文化が好きで長期的に続けたい人
・とにかく会話だけを短期で上達させたい人
・フォーマルな文型より日常スラングを覚えたい人
・どうしても母語での説明がないと不安な人
アニメが好きで日本語を勉強したいんだけど、みんなの日本語でも大丈夫?
もちろんOKです!基礎を固めると、アニメのセリフが少しずつわかるようになってきて「あの言葉、教科書に出てきた!」ってなるんですよね。実際にそれがモチベーションになって続けられる学生さんがとても多いです。
まとめ
4年間使い続けてきた結論は「みんなの日本語はイラストと組み合わせると最強」です。英語の説明なしでも、絵で視覚的にイメージさせることで初心者の学生さんもしっかり理解できます。最初から日本語だけで進める環境を作ることが、遠回りのようで一番の近道だと感じています。
・全25課で日本語の基礎を体系的に学べる世界標準の教科書
・英語訳に頼らず、イラストで視覚的に教えるのが上達の近道
・練習の繰り返し構成がイラスト教授法と相性抜群
・場面設定の古さは教師が補足しながら使えばOK
・ゼロから日本語で考える力を育てたい学生さんに特におすすめ



