初心者の学生さんに教えるのって難しそう…英語で説明した方がいいのかな?

「初心者の学生さんに日本語をどう教えればいいんだろう?」

始めたばかりのころは迷いますよね。英語を使った方がいいのか、日本語だけで通すのか。間違いは全部直すべきか、流すべきか。

この記事では、私が初心者の学生さんに教えるときに意識している5つのことを、具体的なシーンも交えて解説します。

🖋 この記事を書いた人

Ami(フリーランス日本語教師)
海外・オンラインでの日本語教育経験あり。
現在はデンマークから世界中の学習者に日本語を教えています。
これまでに3000回以上のレッスンを担当してきました。

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初心者レッスンは一見シンプルそうに見えて、意外と奥が深いんです。
でもコツを押さえると、学生さんの伸びもしっかり実感できます。
私が大切にしている基本をお伝えします。

📋 この記事でわかること
  • 初心者レッスンで英語を使うべきか
  • 視覚教材(イラスト・動画)の効果的な使い方
  • 教師の日本語をどう調整するか
  • つまずきポイントへの向き合い方
  • 訂正とわからない時の対応

1. 英語を使わない、日本語で日本語を学ぶ

初心者レッスンで一番大切にしているのは、教師側が英語を使わないことです。

たとえ教師が英語を話せても、日常的に英語を使うのは避けた方がいいと私は感じています。

理由はシンプル。学生さんが英語に頼る癖がついてしまうからです。

一度「難しいことは英語で聞けばいい」と学んでしまうと、日本語で考える力が育ちにくくなります。学習者が日本語を本当に身につけるには、日本語で日本語を理解する環境が一番です。

📋 日本語だけで教えるコツ
  • 単語はイラストで視覚的に示す
  • 例文を使って意味を推測させる
  • ジェスチャーや表情をうまく使う
  • どうしても必要な時だけ英語を最小限に

どうしても説明が難しい単語は、あらかじめスライドに簡単な英語を入れておくこともあります。ただしそれをするのも、「みんなの日本語」でいうと1〜2課まで。それ以降はできるだけ日本語だけで進めます。

え、初心者なのに日本語だけで教えられるの?

Ami

不安になりますよね。でも意外と伝わるんです。
イラストや例文、ジェスチャーを組み合わせれば、英語を使わなくても十分に教えられます。
日本人が日本語を覚えた時も、絵や状況から学んでいるんです。その感覚を再現するイメージです。

2. 視覚で教える:イラストと動画の活用

日本語だけで教えるためのカギが、視覚教材です。

私はスライドにイラストをたくさん入れています。単語の意味を英語で訳すのではなく、絵を見せて「これが『りんご』ですよ」と伝える。これが一番記憶に残ります。

📋 視覚教材の使い分け
  • 単語の意味:イラスト(シンプルなものでOK)
  • 文化的な概念:YouTube動画
  • 動作の説明:写真や短い動画
  • 比較・対比:並べて見せる図

特に文化的な概念は、動画の方が圧倒的に伝わりやすいです。

たとえば「節分」という言葉を説明するとき、言葉だけでは伝わりきりません。でもYouTubeで節分の動画を見せると、「豆をまいている!鬼が出てきた!」と一目でわかります。

「そろばん」も同じ。「日本の昔の計算道具」と説明するより、実際に使っている動画を見せる方が、学生さんも楽しんで理解できます。

動画まで使うの大変そう…準備が追いつくかな。

Ami

YouTubeなら無料で使えますし、スライドに動画のリンクを貼っておけば大丈夫です。
文化的な言葉が出てきたときだけで十分。
言葉の意味だけでなく、その背景にある文化も伝わるので一石二鳥です。

3. 教師の日本語を「学生が習った範囲」に合わせる

意外と見落とされがちですが、教師自身が使う日本語のレベルもとても大切です。

自然な日本語で話しかけるつもりでも、学生さんがまだ習っていない表現を使ってしまうと、それだけで混乱します。

📋 教師の日本語を調整するポイント
  • 学生さんが習った文法の範囲内で話す
  • 省略表現を避ける(「んですか」など)
  • 丁寧な基本形を使う
  • 語彙も学習進度に合わせる

たとえば、N5の学生さんに「これ読めるんですか?」と聞きたいとき。

「〜んですか」という形はN5ではまだ習っていません。なので「読むことができますか?」と習った範囲の表現に置き換えます。

普通に話しかけちゃいそう…そこまで意識するんだね。

Ami

最初は難しく感じますが、慣れてくると自然にできるようになります。
教科書を確認しながら「今この学生さんはどこまで習ったか」を意識するだけで、レッスンの理解度がぐっと上がります。
学生さんも「先生の日本語が全部わかる」と自信になりますよ。

4. つまずきポイントは繰り返しで克服

初心者レッスンで多くの学生さんがつまずくポイントは、だいたい決まっています。

📋 よくあるつまずきポイント
  • て形:動詞の変化パターンが複雑
  • い形容詞・な形容詞の変化:どちらがどう変わるか混乱する
  • 助詞の使い分け:「は」「が」「を」「に」など
  • 動詞のグループ分け(1グループ、2グループ、3グループ)

これらは「一度説明したら終わり」ではありません。理屈を教えても、使えるようになるには時間と練習が必要です。

私が意識しているのは、とにかく往復練習を繰り返すこと

先生が例文を出す → 学生さんが答える → 別の例文 → また答える。この往復を、自然に口から出るようになるまで繰り返します。

同じことを何度もやって、飽きられない?

Ami

例文のシチュエーションを変えるだけで全然違います。
「朝起きて」「ご飯を食べて」「学校に行きます」と生活に沿った文を使えば、練習自体が日常会話の練習にもなります。
繰り返しは飽きる練習ではなく、使える日本語を作る時間だと考えています。

5. 訂正と「わからない時」の対応

レッスン中、学生さんが間違えたり、わからなくて固まってしまうことはよくあります。そんな時、どう対応するかが学習効果を大きく左右します。

訂正は「今後困る間違い」だけ

毎回すべての間違いを訂正していたら、会話が止まってしまうし、学生さんも落ち込んでしまいます。

私が意識しているのは、「今後も同じ間違いをされたら厄介な間違い」だけ訂正することです。

たとえば、学生さんが「先週友達にカフェに行きました」と言ったら、「あ〜、友達!」と返します。そうすると学生さんは自然に「そうです、友達と行きました」と言い直してくれます。

直接「間違ってます」と指摘するのではなく、さりげなく正しい形を返すだけで十分です。

わからない時は待つ、そして答えは教えない

学生さんが「わからない」で固まった時、焦って答えを教えるのは逆効果です。

考える時間の長さは人それぞれ。無言で考える学生さん、「えーと…」と声に出す学生さん、いろんなタイプがいます。レッスンを重ねるうちに、その学生さんに必要な「待ち時間」が自然とわかってきます。

しばらく待って答えが出ない時は:

📋 わからない時の対応
  • スライドを前に戻してヒントを見せる
  • 似た例文を自分から話してみせる
  • 関連する単語を出して連想させる
  • それでも難しければ選択肢を出す

絶対にやってはいけないのは、答えをそのまま教えることです。せっかくの学びのチャンスを奪うことになります。

自分で悩んで出した答えの方が、ずっと記憶に残ります。

待つのって勇気いるね…沈黙が気まずく感じちゃう。

Ami

わかります、最初は本当にそう感じます。
でも学生さんも考えています。その時間を尊重することが、いい先生の一歩だと思っています。
慣れてくると、その沈黙すら大切な学習時間に感じられるようになりますよ。

まとめ

初心者の学生さんへの教え方のコツを5つにまとめました。

📋 まとめ
  • 英語を使わず、日本語で日本語を教える環境を作る
  • 単語はイラスト、文化はYouTube動画で視覚的に伝える
  • 教師の日本語も学生さんが習った範囲に合わせる
  • つまずきポイントは往復練習で繰り返し定着させる
  • 訂正は厄介な間違いだけ、わからない時は待って答えは教えない

初心者レッスンは、教師の関わり方一つで学生さんの伸びが大きく変わります。

「どう話すか」「どう訂正するか」「どう待つか」。その積み重ねが、学生さんの自信と実力につながっていきます。

Ami

初心者の学生さんを教えるのは、本当にやりがいのある仕事です。
少しずつ日本語が話せるようになる姿を見られるのは、この仕事の一番の醍醐味だと感じています。
この記事が、同じように教える方の参考になれば嬉しいです。

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